札幌へ引越しする時に不安な要素はいくつかありますが、冬の気候、東京より10度も低い気温と雪については、多くの方々に認知されていることであり、移住を検討する際にためらってしまう大きな要因の1つです。
しかし、案外知られていない冬の別の懸念要素として「冬季うつ」というものがあります。秋から冬にかけて体調が悪い、精神的に調子が悪くなる方がいますが、その場合、冬季うつ病(季節性感情障害)である可能性があります。
特に札幌には、その「冬うつ」になってしまう要素が濃くあるため、「冬季うつ」になってしまう可能性があり、札幌移住を後悔する要因の1つにもなり得ます。
今回は、その「冬季うつ」になる要因について、なぜ札幌はその可能性が高いのか?まとめてみました。
「冬季うつ」とはどんな症状?
毎年秋から冬に向かって、無気力になるとか、睡眠時間が長くなってしまう、常に眠たい、とにかく食べたい(炭水化物など)などして体重増加になってしまうなどの症状が出る場合、「冬うつ」である可能性があります。
北海道の地元住民の間でも、冬場に気分の落ち込みがあるのは確かだと言われています。しかし、それが当たり前になっていて特に口に出さなかったり、ある程度耐性ができてしまっていて我慢をしていたりして、顕在化しないのではないかとも言われています。
通常の「うつ病」も、同じような傾向がある通り、それに気づかずに苦しんでいる人たちは多いと思いますが、「冬うつ」も同様なので、もし上記のような症状が出たら、1度病院に行くなり休んでみるなりした方が良いかもしれません。
札幌/北海道で「冬季うつ」になる要因
北海道の気候/札幌冬季うつの要因①
冬季うつ病の大きな一因として、日照時間が関係していると考えられています。緯度の高い地方、特にヨーロッパなどでは極端に日照時間が短くなり、このうつ病を訴える人が多いと言われています。
また、冬に曇り空が多くなる日本海方面、特に北陸方面では転勤者がうつ業にかかりやすいと言われています。
緯度の高さと冬の曇り空の両面を持ち合わせる北海道は、日照の影響を受けやすいので、注意が必要です。
日光には眠気を催すメラトニンの産生を抑える作用と、気持ちを落ち着かせる作用のあるセロトニン産生を増やす作用があるのですが、日光が少ないと、その効果が弱まり「冬うつ」の状態に陥ってしまうのです。
それでは実際に札幌の冬の日照時間は、どれくらい短くなるのか?それがいつからなのか?日照時間について、12ヶ月・旬ごとの30年間平均(1981年~2010年)データを並べてみます。
※日照時間のデータ出典元:気象庁ホームページ
札幌 | 東京 | 札幌/東京 | |
1月上旬 | 28 | 68 | 41% |
1月中旬 | 30 | 42 | 72% |
1月下旬 | 35 | 55 | 63% |
2月上旬 | 35 | 49 | 72% |
2月中旬 | 36 | 86 | 42% |
2月下旬 | 33 | 81 | 41% |
3月上旬 | 47 | 72 | 65% |
3月中旬 | 44 | 55 | 79% |
3月下旬 | 56 | 61 | 93% |
4月上旬 | 56 | 59 | 95% |
4月中旬 | 61 | 33 | 187% |
4月下旬 | 60 | 59 | 102% |
5月上旬 | 65 | 41 | 158% |
5月中旬 | 63 | 37 | 172% |
5月下旬 | 71 | 59 | 120% |
6月上旬 | 64 | 39 | 164% |
6月中旬 | 60 | 45 | 133% |
6月下旬 | 64 | 23 | 281% |
7月上旬 | 56 | 42 | 131% |
7月中旬 | 48 | 65 | 74% |
7月下旬 | 61 | 61 | 100% |
8月上旬 | 58 | 55 | 105% |
8月中旬 | 58 | 55 | 104% |
8月下旬 | 55 | 20 | 280% |
9月上旬 | 51 | 63 | 80% |
9月中旬 | 55 | 37 | 147% |
9月下旬 | 55 | 24 | 233% |
10月上旬 | 54 | 43 | 126% |
10月中旬 | 50 | 53 | 94% |
10月下旬 | 49 | 45 | 107% |
11月上旬 | 39 | 36 | 108% |
11月中旬 | 30 | 44 | 69% |
11月下旬 | 31 | 63 | 49% |
12月上旬 | 28 | 51 | 56% |
12月中旬 | 27 | 59 | 46% |
12月下旬 | 31 | 82 | 37% |
年平均 | 48.3 | 51.6 | 94% |
札幌は東京と逆で、11月から日照時間が急激に短くなっていきます。11月中旬から2月の下旬までは1旬・10日間で日照が30時間程度、1日にするとわずかに3時間程度しか日照時間が無いということになります。
旬により差はありますが、札幌の11月中旬~2月下旬の日照時間は、東京のおよそ半分しかありません。
しかし、年間平均で比べると札幌48.3時間、東京51.6時間と、さほど大きな差ではありません。
逆に東京が梅雨や秋雨で日照時間が落ち込むときに、札幌は、もちろん緯度が高いことによる日の出~日の入時間の長さもありますが、長雨の影響を受けにくいことで、安定して日照時間が長く維持されるためです。
札幌の人の気性(性格)/札幌冬季うつの要因②
札幌のドライな人間関係が冬季うつの原因
札幌の人たちの人間関係は、けっこうドライな方だと言われています。近所付き合いや冠婚葬祭などもがアッサリしています。
このアッサリが良い人には良く心地よさすら感じるのですが、人間関係に「優しくされたい」「かまって欲しい」という期待を持ちたがる人たちも多く、最初は良くても、だんだんと淋しくなっていくようです。
強い女性も大らかな男性の札幌冬うつの要因
北海道は、北海道開拓の明治時代から、男性も女性も同じように労働をしてきた関係で、男女平等の意識が高いとされています。そのため、女性は自意識も強く、ストレートな物言いの人が多くなり、男性はそれを容認する大らかな人が多いようです。
それらが色濃く出てしまっているのが、たばこの喫煙率です。北海道は国民生活基礎調査開始の2001年以来、十数年にわたりトップを独走中なのですが、特に女性の喫煙率が全国女性の中で群を抜いていることが大きく影響しています。
その北海道女性の喫煙率の高さの要因として、さきほどの男女平等の精神が現れているのだそうです。しかし、男女平等の精神が喫煙率に現れるというのは、少し悲しい気もしますね。
女性の役職者比率に現れるとか、正社員比率に現れるとかであれば良いのですが、ちなみに、内閣府が公表している「25~45歳女性の都道府県別就業率」を見ると、北海道は下から5番目と、働いている女性の比率はかなり低い方になります。
少し話が脱線してしまいましたが、とにかく札幌の女性は性格が強くはっきりしている、逆に男性には強さが感じられない。そんな札幌社会に移住して来て働き始める人の中には、職場に嫌悪感を抱いてしまう確率も高いようです。
医学的には実証されていませんが、この環境も「うつ」になりやすい要因になると考えられます。
札幌「冬季うつ」のまとめ
ヨーロッパ、特に国民の10%が冬季うつ病であると言われているイギリスとまではないにしても、緯度が高い国・地域では、冬季うつ病はかなり一般的に捉えられていますが、日本では中途半端な緯度であるため、冬季うつ病があまり一般的に認識されていません。
しかし、日照時間が短い冬の気象性と、札幌地元民の気性性から、札幌に移住する際は「冬うつ」を十分に注意する必要があります。必要以上に気にする必要もありませんが、少し違和感を持ち始めたら、今回の話を思い出してみて下さい。
「なぜだろう?」と思っているうちに深みにはまると、病気も長期化してしまいますので、知っているだけでも、対応の仕方が早めにできますよね。
しかし、冬の気候も悪いことばかりでなく、一面雪の状態に、日が差すとまぶしいくらいに明るくなります。短い・1日平均3~4時間程度ではありますが、前面に白く輝く札幌の街を眺めていると、雪国の良さがとても感じられます。
日照時間の少ない冬場には人工光を照射することで日照を補い、生体リズムを維持し、症状を軽減させる治療法もあるようですが、一面が白く輝く札幌の市街地を眺めながらのリラックスタイムと日光浴も、とても精神的に良い効果を発揮してくれそうです。
→『札幌移住のメリット20・デメリット10を詳しめに集約』
以上、冬季うつになりやすい札幌の気候と気性!についてでした。