今、インフレ一辺倒のアベノミクスと日銀の政策に、違和感を覚えています。
企業の利益が上がれば、雇用が増え、給料が上がり、物価が上がる。そして、みんなが安心してお金を使えば、経済が好循環化するというインフレ理論は、今の時代に適しているのでしょうか?
インフレ目標2%の達成想定をもう何回も先送りしている日本銀行、これほど景気が良く失業率も低いのにインフレ率が上がらないことに答えを出せていないアメリカのFRB。
少し整理して考えてみたところ、インフレによる給料・収入UPを期待するよりも、やはり地方(札幌)に移住した方が良いという結論に達しました。
インフレの必要性
インフレを正とするインフレの流れは、簡単に言うとこうです。
① いろんな製品やサービスへの需要が高まると、企業は製品の増産やサービスの維持向上のために、雇用を増やします。
② 多くの企業が新規採用を増やしだすと、人材の確保が難しくなります。
③ 企業は、給料を上げることで人材確保しようとします。
④ 企業は人件費増加の分も含め、製品やサービスの価格を引き上げます。
⑤ この循環が続くと、物価上昇・インフレという状態になります。
この物価上昇の流れなら、景気の好循環となり、良い方向だと言われています。
アベノミクスや日本銀行は、その物価上昇が2%程度欲しいと、目標にしました。
インフレで生活が楽になるのは一部の人だけ
インフレとは、需要と収入が増える状態のことですが、全ての企業で給料が上がるという訳ではありません。給料が上がらず、モノの値段だけが上がる、買えるモノが少なくなり、生活が苦しくなる人たちがいます。
給料が上がっても、2%上がっただけでは、買うモノも2%高くなるので、生活は、何も良くなっていません。
物価上昇2%を超える収入の上昇率は難しい
物価上昇率を上回る収入の増加は、どの程度に可能なのでしょうか?
例えば、インフレ2%が10年続くと、物価が約22%上昇します。給料や年金・資産運用などが22%以上も上昇してくれるでしょうか?
少なくとも年金は、マクロ経済スライドによって、インフレ率が0.9%以上になると、物価上昇率より0.9%低い金額しか支払わないルールです(スライド率が0.9%の場合)。年金総支払額を減らすことで、若者世代との格差を埋めようとしているためです。
毎年2%もの賃金上昇をしてくれる企業など、最近の好業績下での賃金上昇ペースの低さからすると、あったとしても、極一部の企業ですね。2017年の過去最高業績企業且つ安倍首相の3%要請で、2018年のベースアップは何とか2.5%です。いつまで続くか?
資産運用はどうでしょうか? 日本の低金利では確実な資産運用は難しいですね。株式投資ともなると、日本市場特有の乱高下では、ヘッジファンドの餌食になり、逆に減らしてしまう可能性大です。
チャイナショックで↘、中国・原油・ヨーロッパ銀行不安・ブレグジットなどで↘、トランプ当選で大暴落のはずが、トランプラリーで↗、北朝鮮リスクで↘、半年後は何故か北朝鮮リスクをきっかけに急↗、突然の衆議院解散で更に↗、アメリカの法人税減税の見通しがついたらまた↗。
グローバル化の昨今、海外要因に振り回されることは仕方ないにしても、上げ下げのきっかけは、いつも海外事情です。企業業績や景気見通しがどんなに良好でも株価は上がり難い。上がった後の理由にはなっても、上がるきっかけにはなり難いですね。
それらの事情で先を見越すことが株式相場であると理解できても、世界中で一番大きく上下に揺さぶられる不安定な日本相場です。10年間で22%以上のリターンを得る確率は、全く想定ができません。
アメリカは、インフレ順調でも生活は不調
インフレ2%が日本人の生活を向上させてくれるのなら、最近15年間で2%平均のインフレであったアメリカは、さぞかし生活が豊かになったことでしょう。
ところが、インフレ2%平均のアメリカ15年間で、
・家賃:約1.5倍、医療費:2倍、学費:約2.5倍 に上昇です。
・しかし、賃金は15年間で約1.3倍にしかなっていません。
家賃・医療費・学費などの上昇に、賃金がまったく追いついていないということです。
但し、アメリカの株価は、日本と違って乱高下せず順調に上がってくれますので、資産運用をうまく実行できている人は、賃金上昇が追いつかなくても、資産運用でそれ以上の資産を確保しています。
インフレは、株価も押し上げることになりますから、資産運用している人にはメリットで、会社の給料だけで生きている人にはデメリットということですね。
インフレ目標2%は達成困難
アベノミクスや日銀がインフレ2%目標を掲げてから、まだ1度も目標達成できていません。景気は、日本もアメリカも世界も絶好調なのに、物価上昇や賃金上昇は、全く想定通りには進行していません。
日本銀行は、インフレ目標2%の目標達成時期について、もう何度も先延ばしにしていますが、そもそも、2%という目標の難易度は?可能なのでしょうか?
過去を見ると、1990年代後半以降の20年間で2%を超えたのは、実質的には消費税増税時(3%→5%、5%→8%)の2回だけです。
アメリカですら、イエレン元FRB議長が「失業率が4.4%と低いのに、インフレ率が目標の2%を下回っているのは不思議だ」と述べていたように、最近は難しいようです。
進歩・IT化・グローバル化とインフレは、相容れない関係
では、なぜインフレ率はなかなか上がらないのでしょうか?
恐らく、よく言われる賃金上昇率の低さの他に、2点が考えられます。
① AIなど技術進歩が高速化しているため、企業努力による高品質低価格化や人件費削減(効率化)が容易になっているためではないでしょうか。
② IT化により同じ品質のモノをより安く買う動向が拡大している点もあります。
一昔前まで、アイデアグッズと言えば東急ハンズでした(渋谷にはよく通いました)。しかし、今アイデアグッズの特集番組は、ダイソー・セリア・キャンドゥなどの100円ショップが多いですね。高付加価値型商品=高額・高利益率なんて常識は、どこかに・・・
そもそもの商品自体が安く、購入場所の選択により安く買える。ファストファッションや100円ショップ・ネット通販・海外サイトなどなど選択肢豊富な時代です。
デフレとインフレ両方を受け入れるべき
企業やお店の努力工夫によりいろんなものが進歩し、更にIT化・グローバル化も進めば、低コスト化=低価格化は当然で、それが物価上昇を阻んでいるとしたら、それは良いことであり、悪いことではないですよね。
デフレばかりでも、経済が進歩できない部分もあるでしょう。しかし、インフレ一辺倒で経済を動かそうとするのもどうかと思います。
2017年度の好景気は、デフレの良さとインフレの良さがうまくミックスした、新しい好景気・好循環スタイルなのかもしれません。
まとめ・今の時代、札幌移住は賢い選択
インフレ2%にならなくても好景気になっており、もう少し長期化しそうな気配です。物価と給料を無理やり上げようとするやり方も長くないかもしれません。
資産を増やすことに期待するよりも、今持っている資金を効率的に使うことで買えるモノを増やす方が、ノーリスク・ハイリターンのような気がします。
その最大の効果をもつモノが、地方への移住(永住)です。住宅費用という最大のコストを下げることができる訳ですから。しかも、生活スタイルを変えることなく、むしろUPさせることができる地方都市があります。
日本政府も言っています「地方創生」だ!と(実現できているかどうかは別として)
東京から地方へ行くことは国の目指す方向にも合致しています。
やはり、地方移住は確率の高い資産価値拡大策です。
札幌に引越ししてみませんか?