北海道へ移住する際に大きな不安要素となるのが「雪」ですね。
首都圏では、雪が降るたびに交通網が乱れてしまいますが、滅多に雪が降らない・積もらない地域で生活していると、雪に対する耐性はできていません。
よって、北海道に移住したい!という方にとって、できれば雪の少ない地域に移住できれば、雪に対する不安が少し和らぎます。
そこで、まずは北海道の中でも「雪」が少ない地域はどこか?北海道の30都市を調べまとめてみました。
北海道の中で人口が多い方から30都市を選び、まずは「降雪量」と「積雪量」のデータ一覧から始め、それぞれの特色ごとにデータを並べ替えてみました。
そして、北海道へ引っ越しするのならば「北海道では雪が少ない地域が雪の多い札幌よりおすすめか?」へと進めます。
記事タイトルにもあるように、雪が少ない地域は太平洋側の釧路・室蘭・苫小牧などですが、札幌や旭川など雪が多い他都市とどれくらいの違いがあるのか?
まずは30都市のデータ一覧で比較してみるところからスタートしますが、面倒な方は目次からデータ項目を飛ばして「北海道では雪が少ない地域が良いわけではない」だけ見に行っても良いと思います。
北海道で雪が少ない地域は?データ一覧
雪に関するデータは全て気象庁HPのデータを参照しています。
人口の多い順/北海道30都市の降雪量・最深積雪
北海道の中で人口の多い順に30都市を選び、降雪量と最深積雪量を一覧にしました。
データは1~3月の平年値(1991年~2020年の30年間平均)を利用しています。
人口は、住民基本台帳に登録された人口「住民基本台帳人口」(住基人口・2021年5月31日現在)を使用しています。
「-」の部分は、残念ながらデータがありませんでした。
市(区) | 住基人口 | 降雪量 | 最深積雪 |
札幌市 | 1,963,401 | 327 | 97 |
旭川市 | 329,413 | 302 | 89 |
函館市 | 250,059 | 206 | 45 |
苫小牧市 | 169,902 | 110 | 31 |
帯広市 | 165,251 | 126 | 71 |
釧路市 | 164,400 | 90 | 33 |
江別市 | 119,739 | – | – |
北見市 | 114,800 | 272 | 82 |
小樽市 | 111,409 | 368 | 118 |
千歳市 | 97,749 | 169 | 52 |
室蘭市 | 80,709 | 121 | 26 |
岩見沢市 | 78,832 | 397 | 119 |
恵庭市 | 70,045 | 391 | 83 |
石狩市 | 58,160 | 449 | 117 |
北広島市 | 57,926 | – | – |
登別市 | 46,421 | 338 | 84 |
北斗市 | 45,253 | – | – |
滝川市 | 39,061 | 507 | 115 |
網走市 | 34,152 | 212 | 63 |
伊達市 | 33,112 | – | – |
稚内市 | 32,586 | 302 | 71 |
名寄市 | 26,759 | 461 | 110 |
根室市 | 24,540 | 118 | 32 |
紋別市 | 21,158 | 226 | 63 |
富良野市 | 20,862 | 376 | 78 |
美唄市 | 20,249 | 465 | 114 |
留萌市 | 19,972 | 359 | 90 |
深川市 | 19,864 | 577 | 110 |
士別市 | 17,886 | – | – |
砂川市 | 16,325 | – | – |
雪が少ない地域順/北海道30都市の降雪量・最深積雪
上記の一覧表を雪の少ない地域順(降雪量と最深積雪に分けて)に並べ直しました(データのない地域は削除)
降雪量(cm) | 最深積雪(cm) | |||
1 | 釧路 | 90 | 室蘭 | 26 |
2 | 苫小牧 | 110 | 苫小牧 | 31 |
3 | 根室 | 118 | 根室 | 32 |
4 | 室蘭 | 121 | 釧路 | 33 |
5 | 帯広 | 126 | 函館 | 45 |
6 | 千歳 | 169 | 千歳 | 52 |
7 | 函館 | 206 | 網走 | 63 |
8 | 網走 | 212 | 紋別 | 63 |
9 | 紋別 | 226 | 帯広 | 71 |
10 | 北見 | 272 | 稚内 | 71 |
11 | 旭川 | 302 | 富良野 | 78 |
12 | 稚内 | 302 | 北見 | 82 |
13 | 札幌 | 327 | 恵庭島松 | 83 |
14 | 登別 | 338 | 登別 | 84 |
15 | 留萌 | 359 | 旭川 | 89 |
16 | 小樽 | 368 | 留萌 | 90 |
17 | 富良野 | 376 | 札幌 | 97 |
18 | 恵庭島松 | 391 | 名寄 | 110 |
19 | 岩見沢 | 397 | 深川 | 110 |
20 | 石狩 | 449 | 美唄 | 114 |
21 | 名寄 | 461 | 滝川 | 115 |
22 | 美唄 | 465 | 石狩 | 117 |
23 | 滝川 | 507 | 小樽 | 118 |
24 | 深川 | 577 | 岩見沢 | 119 |
太平洋側の各地域が上位を占めましたが、札幌はそれら雪の少ない地域よりも3倍もの雪の量であることが分かります。
帯広は、釧路・苫小牧・室蘭などと比較して、降雪量は同じくらいですが、最深積雪が2倍ほどになってしまいます。
太平洋側の主要地域の降雪量・最深積雪
太平洋側沿岸部の地域で代表的な地域だけを一覧にしてみました
最深積雪(cm) | 平年値 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
釧路 | 33 | 21 | 73 | 45 |
広尾 | 97 | 47 | 153 | 100 |
浦河 | 19 | 19 | 9 | 34 |
苫小牧 | 31 | 17 | 28 | 25 |
室蘭 | 26 | 20 | 37 | 24 |
降雪量合計(cm) | 平年値 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
釧路 | 90 | 55 | 104 | 116 |
広尾 | 216 | 136 | 270 | 221 |
浦河 | 95 | 86 | 31 | 144 |
苫小牧 | 110 | 73 | 119 | 69 |
室蘭 | 121 | 68 | 121 | 113 |
広尾と浦河を加えてみましたが、帯広より沿岸部にある広尾も雪の量が多いことが分かります。
2018年・2019年・2020年の年ごとの降雪量・最深積雪データ
念のため、太平洋側以外の他都市も、年による差がどれくらいあるのか?一覧にしてみました(気象庁HPにデータがある都市だけ)。
降雪量(cm) | 平年値 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
札幌 | 327 | 210 | 329 | 262 |
旭川 | 302 | 335 | 224 | 290 |
函館 | 206 | 150 | 98 | 185 |
苫小牧 | 110 | 73 | 119 | 69 |
帯広 | 126 | 71 | 149 | 182 |
釧路 | 90 | 55 | 104 | 116 |
小樽 | 368 | 228 | 327 | 275 |
室蘭 | 121 | 68 | 121 | 113 |
岩見沢 | 397 | 365 | 262 | 485 |
網走 | 212 | 169 | 178 | 198 |
稚内 | 302 | 192 | 154 | 383 |
根室 | 118 | 115 | 122 | 128 |
紋別 | 226 | 229 | 195 | 234 |
留萌 | 359 | 306 | 179 | 276 |
最深積雪(cm) | 平年値 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
札幌 | 97 | 72 | 80 | 79 |
旭川 | 89 | 84 | 65 | 109 |
函館 | 45 | 49 | 19 | 44 |
苫小牧 | 31 | 17 | 28 | 25 |
帯広 | 71 | 33 | 78 | 67 |
釧路 | 33 | 21 | 73 | 45 |
小樽 | 118 | 92 | 69 | 104 |
室蘭 | 26 | 20 | 37 | 24 |
岩見沢 | 119 | 132 | 52 | 205 |
網走 | 63 | 49 | 63 | 70 |
稚内 | 71 | 39 | 21 | 104 |
根室 | 32 | 39 | 40 | 41 |
紋別 | 63 | 50 | 70 | 69 |
留萌 | 90 | 73 | 34 | 81 |
北海道では雪が少ない地域が良いわけではない
北海道で一番人気の札幌市は「雪」が多い方の地域
北海道で雪が少ない地域は、太平洋側の釧路・苫小牧・室蘭などでしたね。
しかし、それらの地域よりも3倍もの雪の量が降る・積もる札幌市が、北海道では一番人気の地域です。
もちろん、札幌は北海道の道庁所在地・中心地であるからでもあるのですが、北海道へ移住する人たちも札幌へ移住する人が多い=人気があるのには理由があります。
雪は少ないより適度に降る・積もっている方が良い
札幌は雪が多いのに、なぜ移住先としても人気があるのか?というよりは、人気が落ちない理由が「雪」には存在しています。
雪というのはデメリットでもありますが、メリットもあるということをご存じでしょうか?
実は、雪には寒さを感じさせないという性質があり、なぜそうさせるのかの理由は、
❶雪が保温力を持っているから
❷雪が降る時、熱を放射するから
❸厚い雲が、地上の熱を逃がさないから
です。
※これらについて詳しくは別記事『検索 意外と寒くない 北海道の大雪の真冬は意外と寒くない!中でも札幌は気温高め』に記載しています。
太平洋側は雪が少ないが風が強いので寒い
北国の冬の厳しさを描く情景として、風の寒さに耐え忍ぶ場面なんかが良くありますよね。
同じ気温であっても、風があるかないか?は大きな違いで、強い風が吹くと本当に寒さが身に沁みます。
そこで、札幌と釧路・苫小牧・室蘭の「風」について、1~3月の平均風速と、強風の日数(秒速10メートル以上の風が吹いた日)について、気象庁のデータを一覧化してみました(平年値は無かったので、直近4年間のデータです)。
平均風速(1~3月の平均) | ||||
(m/s) | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
札幌 | 3.2 | 3.5 | 3.1 | 3.5 |
釧路 | 5.8 | 5.2 | 5.3 | 5.8 |
苫小牧 | 3.3 | 3.1 | 3.1 | 3.5 |
室蘭 | 5.6 | 5.2 | 4.7 | 5.7 |
日最大風速10m/s以上日数(1~3月の合計) | ||||
(日) | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
札幌 | 10 | 16 | 14 | 22 |
釧路 | 50 | 45 | 39 | 55 |
苫小牧 | 12 | 9 | 7 | 13 |
室蘭 | 44 | 31 | 28 | 51 |
苫小牧は札幌と同程度ですが、釧路と室蘭はかなり風が強いことが分かります。
北海道の他の地域ではどうか?は『1月下旬の北海道20地域を気温・雪・日照・風などで完全比較!』をご覧ください(他の月・旬は気候>冬カテゴリ にあります)。
釧路や室蘭が札幌より風がかなり強いのですが、北海道には、もっと風が強く・もっと気温が低い厳しい地域があります。
北海道へ移住するなら「札幌」が断然おすすめ
雪が多いのに、なぜ札幌を一番におすすめするのか?
札幌は、雪が多いと言っても、除雪されているエリアが多いので、日常生活において雪の弊害はほとんどありません。
また、雪で大きな障害となるのは「雪かき」作業ですが、普通のマンションに住めば全く雪かき重労働は不要で(車上の除雪だけは必要)、そのマンションが揃っているのが札幌市内です。
更に、札幌と他都市との大きな差になるのが、札幌市には地下鉄と市電(路面電車)が走っているということです。
札幌以外にもあるJR線と路線バスは、雪が降ると遅延や運休などの影響を受けますが、札幌の地下鉄と市電は雪による遅延はまずありません。
札幌市営地下鉄は外を走る部分がシェルターで保護されており、市電はササラ電車と呼ばれる除雪カーにより線路に雪が貯まらないようになっているからです。
もちろん、札幌は200万人弱の大都市なので、買い物などは他都市とは比較にならないほどの利便性が確保されていることも、おすすめする大きな要因です。
気温においても、札幌にはヒートアイランド現象が起きていて、1月の最低気温平年値が100年間で6.5度も上昇したそうで、札幌は札幌周辺の地域よりも気温が高めです(その分、夏も気温高めです)。
今回のテーマは、北海道で雪の少ない地域はどこか?でしたが、雪が少なければよいという訳ではない理由と、北海道への移住なら雪が多い地域である札幌が一番におすすめであるということで、まとめさせていただきました。
それでもなお「雪が少ない地域」が良いのであれば、釧路も・苫小牧・室蘭(+帯広)を選択することを否定は致しません。
その4都市であれば、人口が一定程度(8万~16万人)はあるので、地方都市としての一定程度の利便性は確保されています。
4都市の中では、風も弱く新千歳空港や札幌にも近い苫小牧が一番無難かもしれません。
以上『北海道で雪が少ない地域の釧路・室蘭・苫小牧は札幌よりおすすめか?』でした。